2011年10月5日水曜日

年金記録・年金給付

(1)国民年金の保険料納付は,昭和36年4月1日から開始されました。

(2)国民年金の第3号被保険者制度(サラリーマンの配偶者で専業主婦)は,

昭和61年4月1日から開始されました。

昭和61年3月31日以前は,サラリーマンの配偶者で専業主婦は,

国民年金について,強制加入ではなく,任意加入でした。

任意加入期間は,受給資格期間には反映されますが,

保険料を納付していないので年金額には反映されません。

(3)サラリーマンの配偶者で専業主婦は,国民年金の3号被保険者であって,

厚生年金の被保険者ではないので,老齢厚生年金は支給されません。

*遺族厚生年金は,支給されることがあります。

(4)厚生年金の保険料の納付は,昭和17年6月から開始されました。

当初の加入対象は,現業の男性労働者のみでしたが,

昭和19年10月から事務職や女性労働者も加入対象になりました。

(5)厚生年金の被保険者資格は,

昭和61年4月1日から平成14年3月31日までは,

65才到達により,資格を喪失していましたが,

平成14年4月1日からは,70才到達により,資格を喪失することになりました。

よって,平成14年4月1日時点において,65才以上70才未満(昭和7年4月2日から昭和12年4月1日生まれの者)で,在職していた者の厚生年金の記録は,

途中とぎれて,平成14年4月1日から再加入になっています。

(6)平成15年3月31日以前の賞与については,厚生年金の年金記録に記載されません。

平成15年3月31日以前の賞与は,年金の額に反映されないからです。

(7)脱退手当金につき,年金記録には脱退手当金の支給につき記載されますが,

年金手帳には脱退手当金の支給の有無は記載されません。

脱退手当金の支給があった場合,支給当時の厚生年金保険被保険者証にゴム印などで記載されました。

(8)特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分は,支給開始年齢到達後であれば,

65才未満から受け取っても,年金の額は減額されません。

反対に,特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分は,支給開始年齢到達後,遅らせて請求しても,増額されません。

(9)厚生年金基金に加入していた人は,厚生年金基金に加入していなかった人に対し

厚生年金の年金額は,少なくなります。

厚生年金の年金額のうち,厚生年金基金が代行している部分があるからです。

つまり,厚生年金基金の年金額が,厚生年金の年金額も含んだものになっているからです。

(10)65才になると,特別支給の老齢厚生年金の受給権は消滅し,

新たに老齢厚生年金・老齢基礎年金の受給権が発生します。

新たに受給権が発生するので,年金機構から送付されてくる請求書を返送する必要があります。

ーーーーーーーーーー
当事務所のHP http://ishihara-shihou-gyosei.com/















2011年10月3日月曜日

結婚前の内縁関係と合算対象期間(被保険者期間)

①老齢基礎年金(老齢厚生年金)の受給資格がない人でも,


昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの結婚前の内縁関係(現在の国民年金の第3号被保険者に該当)にあった期間が,


合算対象期間に含まれると認定された場合,


老齢基礎年金(老齢厚生年金)の受給資格を取得することができるときがあります。




②昭和61年4月1日以降,国民年金の第3号被保険者の届け出をしておらず,


老齢基礎年金(老齢厚生年金)の受給資格がない人についても,


結婚前の内縁関係にあった期間が,


第3号被保険者として認定された場合は,


老齢基礎年金(老齢厚生年金)の受給資格を取得することができるときがあります。




ただし,内縁関係にあったことは,年金の請求者側の問題ですので,


原則として,年金の請求者側が証拠を集める必要があります。

親の反対によって結婚できなかった,社宅で同居していた,親戚や会社などの周辺の人が内縁関係と思っていたなどの事情があれば,

たとえ,当時の公的書類(住民票・戸籍の附票,被扶養者の届け出など)が保存期間の満了による廃棄されていたとしても,

当人たちの関係を内縁関係と見ていた周辺の者が,

同居や相互扶助関係の存在を認めており,

他の資料による周辺事実と矛盾していないことが証明できれば,

内縁関係として認定されます。

*(住民票などの客観的な資料の提出がないことから,結婚前の内縁関係の期間を認定しなかったため)老齢基礎年金の受給資格期間を満たさないとした社会保険庁長官の処分を取り消して,老齢基礎年金の受給権を認めた裁決例

厚生労働省 社会保険審査会 裁決例
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/shinsa/syakai/dl/04_33.pdf

ーーーーーーー
当事務所のHP http://ishihara-shihou-gyosei.com/

2011年10月1日土曜日

障害年金の差止めと年金支払請求権の消滅時効

①年金支払請求権(支分権)は,

支払期月の翌月の初日を起算日として,

5年の経過により,時効消滅します。
(平成19年7月7日以降に受給権が発生した年金の支分権は、5年を経過しても自動的に消滅せず、国が個別に時効を援用することによって、時効消滅する。)


②障害年金の受給権者は,

毎年,障害の現状に関する医師又は歯科医師の診断書などを提出する必要があります。


③診断書などを提出しない場合,

年金の給付が一時差し止められることがあります。


④診断書などを提出しないため,

年金の給付が一時差し止められ,

一時差止めの状態で,年金の支払請求権の消滅時効の期間が経過した場合は,

年金の支払請求権は消滅します。


⑤ただし,一時差止め期間中において,

意思能力(6才から7才ぐらいの子どもの判断能力)をまったく欠いていた場合,

行為能力が成年被後見人に該当するような場合は,

民法158条の第1項の適用ないし準用により,救済される可能性があります。


⑥当然ながら,一時差止め期間中において,

診断書などを提出しなくても(のちに提出した診断書などにより,一時差止め期間中も障害状態により,年金の支払請求権が発生していたと判断された場合に限る)

年金の支払請求権の行使と目されるような行為があった場合は,

年金の支払請求権は,時効消滅しません。



厚生労働省 社会保険審査会 裁決例
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/shinsa/syakai/dl/04_16.pdf


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
年金の支分権の消滅時効について


○平成19年7月6日以前に受給権が発生した年金
平成19年7月6日以前に受給権が発生した年金の支給を受ける権利(支分権)は、会計法の規定により、5年を経過したときは時効によって消滅します。ただし、年金記録の訂正がなされた上で裁定(裁定の訂正を含みます。)が行われた場合は、支分権が時効消滅している場合であっても、全額が支給されます。(年金時効特例法による取扱い)
○平成19年7月7日以降に受給権が発生した年金
年金時効特例法の制定に伴う厚生年金保険法及び国民年金法の一部改正により、平成19年7月7日以降に受給権が発生した年金の支分権は、5年を経過しても自動的に消滅せず、国が個別に時効を援用することによって、時効消滅することとなりました。5年以上前の給付を受ける権利について、次の(1)又は(2)に該当する場合には、国は時効を援用しないこととします。
(1)年金記録の訂正がなされた上で裁定(裁定の訂正を含みます。)が行われたもの
(2)時効援用しない事務処理誤りと認定されたもの
この取扱いについて、厚生労働省大臣官房年金管理審議官より日本年金機構理事長に対し、通知が発出されています。詳細はダウンロードのリンク 新規ウインドウで開きます。こちら(PDF 76KB)をご覧ください。

日本年金機構HP


ーーーーーーーーーー

当事務所のHP http://ishihara-shihou-gyosei.com/

老齢基礎年金の一部繰上げ請求と障害厚生年金の額の改定

老齢基礎年金の一部繰上げ請求をしていたため,

障害厚生年金の額の改定が認められなかった事例

繰り上げ請求の理由が,

傷病の医療費を賄うためであったとしても,

斟酌されません。

厚生労働省 社会保険審査会 裁決例
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/shinsa/syakai/dl/04_13.pdf

ーーーーーーーー
当事務所のHP http://ishihara-shihou-gyosei.com/