2009年8月30日日曜日

成年後見制度と親族

一度,成年後見人(後見人,保佐人,補助人,任意後見人)に就任すると,

不正行為,著しい不行跡,その他任務に適さない理由により,

家庭裁判所から解任されない限り,成年後見人としての職務が継続します。

成年後見を申し立てた動機である,遺産分割協議,不動産の売買が終わったとしても,

勝手に辞任できません。

家庭裁判所が,辞任につき「正当理由」があるとして認めてくれないと,辞任できません。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(後見人の辞任)
第八百四十四条  後見人は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
当事務所のHP http://ishihara-shihou-gyosei.com/

2009年8月28日金曜日

法定後見と任意後見

法定後見(後見,保佐,補助)と任意後見の大きな違いは,

法定後見は,法律行為の取消権が認められているのに対し,

任意後見は,法律行為の取消権がないことです。

したがって,悪質業者の訪問販売などに対しては,

任意後見では対応が難しくなります。

任意後見の場合,特定商取引法に基づく,消費者契約法に基づく,民法の詐欺・強迫に基づくから,

売買を取り消す,リフォーム工事を取り消すということを,

任意後見人の方が証明する必要があります。

しかし,「法定後見」,なかでも,判断能力が最も衰えている「後見」なら,

日常生活のために必要とされる行為以外は,すべて取り消すことができます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(成年被後見人の法律行為)
民法
第九条  成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
当事務所のHP http://ishihara-shihou-gyosei.com/

2009年8月27日木曜日

成年後見と横領罪



成年後見人(保護者)が,成年被後見人(本人)の財産を

成年後見人自身のために使った場合,

家庭裁判所から成年後見人を解任されるだけでなく,

業務上横領罪により,逮捕されることがあります。

たとえ,親族(父・母,子,兄弟姉妹など)が成年後見人になっていたとしても,

法律上は,成年被後見人の財産は,自己の財産と区別して管理しなければなりません。

家庭裁判所が,成年後見開始の審判を出すまでは,

親族だから,区別することなく管理していたとしても,

成年後見人になると,親族関係とは切り離された,法律に基づく財産管理責任が発生します。


*業務上横領で逮捕され,実刑判決が下された事例。


事件番号 平成18(わ)392
事件名   業務上横領
裁判所   広島地方裁判所 福山支部
裁判年月日 平成21年03月24日

業務上横領罪が成立し,犯行の一部につき知的障害による心神耗弱の状態にあったと認定して懲役1年10月の実刑

最高裁判所HP 判例検索  http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=37718&hanreiKbn=03
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

当事務所のHP http://ishihara-shihou-gyosei.com/

2009年8月26日水曜日

成年後見の短所

成年後見開始の審判があると,以下のような制限規定が適用されます。

  【後見の場合】

1 選挙権・被選挙権がなくなります。

2 専門資格の喪失
  (医師,歯科医師,社会福祉士,介護福祉士,宅地建物取引主任者など)

3 責任資格の喪失
  (医療法人の役員,社会福祉法人の役員,株式会社の役員など)

4 市町村で印鑑登録を受けることができません。

5 日常生活に必要な行為以外については,取消しの対象になります。

 【保佐】

1 専門資格の喪失
  (医師,歯科医師,社会福祉士,介護福祉士,宅地建物取引主任者など)

2 責任資格の喪失
  (医療法人の役員,社会福祉法人の役員,株式会社の役員など)

3 重要な財産管理行為について,取消しの対象にります。

*保佐は,選挙権・被選挙権がありますし,印鑑登録も可能です。

*なお,「補助」,「任意後見」の場合は,上記のような制限はありません

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

当事務所のHP http://ishihara-shihou-gyosei.com/

2009年8月24日月曜日

成年後見の統計(平成19年4月から平成20年3月)

成年後見の統計(平成19年4月から平成20年3月)によると,

1 成年後見の申立人は,多い順に

   本人の子どもが,約38%

   本人の兄弟姉妹が,約16%

   配偶者が,約10%


2 本人の年齢および男女別割合は,多い順に

   男性の80歳以上が男性全体の約28%,
        70歳代が男性全体の約22%

   女性の80歳以上が女性全体の約52%,
        70歳代が女性全体の約24%



3 申立ての動機は,2万5392件のうち,多い順に

   財産管理処分が,2万1733件

   身上監護(介護保険の申請,施設入所契約など)が,6711件

   遺産分割協議が,3050件

以上のようになっています。


下記リンクは,最高裁判所の統計資料です。

http://www.courts.go.jp/about/siryo/pdf/seinen08.pdf#search=成年後見統計'

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
当事務所のHP http://ishihara-shihou-gyosei.com/

2009年8月22日土曜日

成年後見,任意後見に関するブログ

成年後見(後見・保佐・補助,任意後見)に関するブログを開始しました。


成年後見制度とは,

精神上の障害(認知症,知的障害,精神障害など)により

判断能力が衰えている者に対する保護制度です。



成年後見は,「法定後見(後見,保佐,補助)」と「任意後見」に分かれます。

法定後見は,法律により,内容が定型化されていますが,

任意後見は,契約により,事案に応じた弾力的な内容にすることができます。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


当事務所のHP http://ishihara-shihou-gyosei.com/