2010年2月10日水曜日

成年後見の市町村長の申立て

老人福祉法,精神保健及び精神障害者福祉に関する法律,知的障害者福祉法には,

市町村長に,成年後見の申立権があることを規定しています。

ただし,「その福祉を図るため特に必要があると認めるとき」との,要件がついています。

上記要件が認められるのは,

本人が成年後見を必要とする状態であるにも関わらず,

配偶者や4親等内の親族がおらず、申立人がいない場合や,

配偶者や4親等内の親族がいるが、これらの人が申し立てを拒否する場合です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
老人福祉法
(審判の請求)
第三十二条  
 市町村長は、六十五歳以上の者につき、その福祉を図るため特に必要があると認めるときは、民法第七条 、第十一条、第十三条第二項、第十五条第一項、第十七条第一項、第八百七十六条の四第一項又は第八百七十六条の九第一項に規定する審判の請求をすることができる。

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律
(審判の請求)
第五十一条の十一の二  
 市町村長は、精神障害者につき、その福祉を図るため特に必要があると認めるときは、民法 (明治二十九年法律第八十九号)第七条 、第十一条、第十三条第二項、第十五条第一項、第十七条第一項、第八百七十六条の四第一項又は第八百七十六条の九第一項に規定する審判の請求をすることができる。

知的障害者福祉法
(審判の請求)
第二十八条  市町村長は、知的障害者につき、その福祉を図るため特に必要があると認めるときは、民法第七条 、第十一条、第十三条第二項、第十五条第一項、第十七条第一項、第八百七十六条の四第一項又は第八百七十六条の九第一項に規定する審判の請求をすることができる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
当事務所のHP http://ishihara-shihou-gyosei.com/

2010年2月2日火曜日

介護者の責任

介護者(保護責任者)が,要介護者の介護を放棄した場合,



要介護者の生命・身体を危険にさらすことになり,



刑法218条の保護責任者遺棄罪,



刑法219条の遺棄致死傷罪に該当することがあります。





ーーーーーーーーーーーーー



母と同居していた被告人が,

自力で起き上がることができず,自力による食物摂取および排泄処理ができない母を置き去りし,

栄養不良及び寒冷のため, 母が凍死した事例


事件番号 平成16(わ)55
事件名 保護責任者遺棄致死被告事件
裁判年月日 平成16年06月24日
裁判所名・部 金沢地方裁判所 3



懲役4年(求刑懲役5年)の実刑判決





最高裁判所HP

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=7887&hanreiKbn=03



ーーーーーーーーーーーーーーーーー

(保護責任者遺棄等)

刑法
第218条 

 老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、3月以上5年以下の懲役に処する。


(遺棄等致死傷)
第219条 

 前2条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。



(傷害)
第204条 

 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

当事務所のHP http://ishihara-shihou-gyosei.com/