2011年11月23日水曜日

平成23年版 高齢社会白書

平成23年版 高齢社会白書


厚生労働省HP
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2011/zenbun/23index.html



(1)5人に1人が高齢者という社会

我が国の総人口は、平成22(2010)年10月1日現在、1億2,806万人であった。
65歳以上の高齢者人口は、過去最高の2,958万人(前年2,901万人)となり、総人口に占める割合(高齢化率)も23.1%(前年22.7%)となった。
65歳以上の高齢者人口を男女別にみると、男性は1,264万人、女性は1,693万人で、性比(女性人口100人に対する男性人口)は74.7であり、男性対女性の比は約3対4となっている。


また、高齢者人口のうち、「65~74歳人口」は1,528万人(男性720万人、女性808万人、性比89.0)で総人口に占める割合は11.9%、「75歳以上人口」は1,430万人(男性545万人、女性885万人、性比61.5)で、総人口に占める割合は11.2%である(表1-1-1)。




オ 男性83.67歳、女性90.34歳まで生きられる

平均寿命は、平成21(2009)年現在、男性79.59年、女性86.44年であるが、今後、男女とも引き続き延びて、67(2055)年には、男性83.67年、女性90.34年となり、女性の平均寿命は90年を超えると見込まれている。


また、65歳時の平均余命は、昭和22(1947)年には男性が10.16年、女性が12.22年であったものが、平成21(2009)年には男性が18.88年、女性が23.97年となっており、男性、女性とも高齢期が長くなっている。

(1)高齢者のいる世帯は全体の4割、そのうち「単独」・「夫婦のみ」世帯が過半数

65歳以上の高齢者のいる世帯についてみると、平成21(2009)年現在、世帯数は2,013万世帯と初めて2,000万世帯を超え、全世帯(4,801万世帯)の41.9%を占めることとなり、高齢者のいる世帯は増え続けている

(3)一人暮らし高齢者は増加傾向にあるも一人で過ごすことには不安を感じている

65歳以上の一人暮らし高齢者の増加は男女ともに顕著であり、昭和55(1980)年には男性約19万人、女性約69万人、高齢者人口に占める割合は男性4.3%、女性11.2%であったが、平成17(2005)年には男性約105万人、女性約281万人、高齢者人口に占める割合は男性9.7%、女性19.0%と、女性における比率は極めて高い。今後も一人暮らし高齢者は増加を続け、特に男性で一人暮らし高齢者の割合が大きく伸びることが見込まれている

(2)高齢者世帯は、世帯人員一人当たりの年間所得が全世帯平均と大きな差はなく、6割強の世帯は所得が公的年金・恩給のみ

高齢者世帯(65歳以上の人のみで構成するか、又はこれに18歳未満の未婚の人が加わった世帯)の年間所得(平成20(2008)年の平均所得)は297.0万円となっており、全世帯平均(547.5万円)の半分強であるが、世帯人員一人当たりでみると、高齢者世帯の平均世帯人員が少ないことから、192.9万円となり、全世帯平均(208.4万円)との間に大きな差はみられなくなる。


また、高齢者世帯の所得を種類別にみると、「公的年金・恩給」が209.8万円(総所得の70.6%)で最も多く、次いで「稼働所得」52.6万円(同17.7%)となっている(表1-2-2-2)。


65歳以上の高齢者の受療率が高い主な傷病をみると、入院では、「脳血管疾患」(男性555、女性653)、「悪性新生物(がん)」(男性473、女性236)となっている。外来では、「高血圧性疾患」(男性1,293、女性1,706)、「脊柱障害」(男性1,125、女性1,126)となっている(表1-2-3-7)。

高齢者の死因となった疾病をみると、死亡率(高齢者人口10万人当たりに対する死亡者数の割合)は、平成21(2009)年において、「悪性新生物(がん)」が952.3と最も高く、次いで「心疾患」555.7、「脳血管疾患」376.2の順になっており、これら三つの疾病で高齢者の死因の約6割を占めている(図1-2-3-8)。

(2)高齢者の介護

ア 高齢者の要介護者等数は急速に増加しており、特に75歳以上で割合が高い


介護保険制度における要介護者又は要支援者と認定された人(以下「要介護者等」という。)のうち、65歳以上の人の数についてみると、平成20(2008)年度末で452.4万人となっており、13(2001)年度末から164.7万人増加しており、第1号被保険者の16.0%を占めている(図1-2-3-10)。


また、65~74歳と75歳以上の被保険者について、それぞれ要支援、要介護の認定を受けた人の割合をみると、65~74歳で要支援の認定を受けた人は1.2%、要介護の認定を受けた人が3.0%であるのに対して、75歳以上では要支援の認定を受けた人は7.6%、要介護の認定を受けた人は21.6%となっており、75歳以上になると要介護の認定を受ける人の割合が大きく上昇する(表1-2-3-11)。

介護保険制度のサービスを受給した65歳以上の被保険者は、平成23(2011)年1月審査分で約402万人となっており、男女比でみると男性が28.2%、女性が71.8%となっている。


さらに、介護サービスの利用実態をみると、要介護1~3の人は居宅サービスの利用が多い一方、重度(要介護5)の人は施設サービス利用が半数を超えている(表1-2-3-13)。


要介護者等について、介護が必要になった主な原因についてみると、「脳血管疾患」が23.3%と最も多く、次いで、「認知症」14.0%、「高齢による衰弱」13.6%、「関節疾患」12.2%となっている。男性の「脳血管疾患」が35.9%と特に多くなっている(図1-2-3-14)。

エ 「要介護5」では約半数がほとんど終日介護を行っている

同居している主な介護者が1日のうち介護に要している時間をみると、「必要な時に手をかす程度」が37.2%と最も多い一方で、「ほとんど終日」も22.3%となっている。要介護度別にみると、要支援1から要介護2までは「必要な時に手をかす程度」が最も多くなっているが、要介護3以上では「ほとんど終日」が最も多くなっており、要介護5では約半数がほとんど終日介護している。なお、平成19(2007)年の調査と16(2004)年の調査を比較すると、「ほとんど終日」が0.7ポイント、「半日程度」が2.1ポイント増加する一方で、「必要な時に手をかす程度」が7.5ポイント減少している(図1-2-3-20)。

(1)高齢者の住環境

ア 高齢者の9割は現在の住居に満足しており、体が弱っても自宅に留まりたい人は7割弱


60歳以上の高齢者に現在の住宅の満足度について聞いてみると、「満足」又は「ある程度満足」している人は総数で89.3%、持家で91.2%、賃貸住宅で69.9%となっている(図1-2-6-1)。


さらに、同調査で現在住んでいる住宅について不満な点をみると、不満の理由は「住宅が古くなったりいたんだりしている」が16.8%、以下、「庭の手入れが大変」が10.5%、「住宅の構造や設備が使いにくい」が7.0%となっているが、「特に不満はない」が61.4%となっている。

イ 高齢者は家庭内事故が多く、最も多い事故時の行動は「歩いていた(階段の昇降を含む)」

全国20の危害情報収集協力病院から提供された事故情報では、65歳以上高齢者の方が20歳以上65歳未満の人より住宅内での事故発生の割合が高く、65歳以上高齢者の事故時の場所別・行動別にみると、場所では、「居室」25.8%(1,072件)、「階段」13.1%(543件)、「台所」11.9%(495件)が多く、行動では、「歩いていた(階段の昇降を含む)」が最も多く29.0%と3割近くを占める(図1-2-6-3)。

イ 振り込め詐欺の被害者の6割以上が高齢者

犯罪による65歳以上の高齢者の被害の状況について、刑法犯被害認知件数でみると、全刑法犯被害認知件数が戦後最多を記録した平成14(2002)年に22万5,095件となり、ピークを迎えて以降、近年は減少傾向にあり、21(2009)年は14万3,963件であった(図1-2-6-6)。


ウ 消費トラブルに関する相談が依然として10万件を超えている


全国の消費生活センターに寄せられた契約当事者が70歳以上の相談件数は、平成17(2005)年度に139,533件とピークを迎え、その後減少し、近年では横ばい傾向が続いているものの、依然として10万件を超えている(図1-2-6-8)。また、21(2009)年度に寄せられた122,053件の相談を販売方法・手口別にみると、家庭訪販が16.5%、次いで電話勧誘が10.4%となっている。

オ 虐待を受けている高齢者の8割が要介護認定

平成21(2009)年度に1,750市町村(特別区を含む)で受け付けた養護者による高齢者虐待に関する相談・通報件数は、高齢者虐待について、住民の理解が進んだことなどにより、23,404件と20(2008)年度(21,692件)よりも1,712件(7.9%)増加した。性別でみると女性が全体の約8割を占めており、年齢階級別では「80~84歳」が24.0%と最も多い。また、虐待を受けている人のうち、約7割が要介護認定を受けており、そのうち、「要介護2」が20.5%と最も多く、次いで、「要介護3」が19.9%、「要介護1」が19.6%の順であった。


なお、虐待の加害者は、「息子」が41.0%と最も多く、次いで、「夫」17.7%、「娘」15.2%となっている(図1-2-6-10)。


 
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